こだわりの連載技術エッセイ
第1回カーナビってなんだ? 2003年4月2日

カーナビとは正式にはカーナビゲーションシステム。これを略してカーナビと呼んでいる。 ちなみに普及が著しいディジタルカメラをデジカメと呼んでいるがこれは三洋電機の登録商標とか。三洋以外の製品では使えない。 さて、カーナビはどうか? テレビに流れる自動車メーカー各社のコマーシャルでカーナビという言葉が使われているのでたぶんだれも登録していないみたいだが。

このカーナビ、電子情報技術産業協会(旧日本電子機械工業会)の統計によると昨年、2002年の出荷台数が222万台に達している。 が前年割れの出荷台数で伸び悩んでいる電子機器の中で伸びている(前年比116%)数少ない商品なのである。 さて、この出荷台数だが、これは電子機器メーカーの出荷台数の統計であり、自動車メーカーが販売したライン装着の台数は含まれていないと思われる。 よって、実際に出荷された台数はこの数を大幅に上回っている。

カーナビを欲しいと思っている人が多い。カーナビを搭載した車を買う場合は別として、付いてない車の場合はあとで購入して取り付けるのだが、 どこのメーカーの製品を買おうか迷うにちがいない。パイオニア、パナソニック(松下)、ソニー、アルパイン、ケンウッド、 クラリオンなどのほとんどのカーオーディオメーカーからいろいろな製品が販売されている。 それらの商品にはCD-ROM、DVD、ハードディスクタイプがあり、メーカーを決めてもどれにしたら良いのか迷ってしまう。 実際、カー用品店に行き各社のカタログを集めてきた。正直言ってカタログを見てどれがベストかを見つけるのは不可能である。 ほとんどのメーカーのカタログには画面の見易さ、目的地検索のし易さ、そして、オーディオなどの他の機能との融合などが書き連ねてあるが、 カーナビの最も重要な機能、それは今いる場所(現在地と呼ぶ)がどのくらい正確なのかに触れているカタログは皆無であった。 肝心なことが書いてないのである。選択した製品の性能が思わしくなくても簡単に買い換えられない。 取り付けは販売店にお願いしなければならないし、価格が安くなったとは言え、10万円以上の出費が必要である。 加えて、買い換えた製品が目的を満足するかどうか、それは使ってみないとわからない。

かなり以前になるが、筆者は某メーカーでカーナビの開発に関わった経験を持っている。 現在は市販の製品を愛用しているが、開発当初の試作機を使っていた期間を含めると15年以上カーナビを使い続けている。 いまやカーナビなしに車を運転できない。この長期の経験からカーナビは『いかなる機能も現在地が不明確なら全く意味を持たない』と思っている。 カーナビの基本機能は『今どこにいるのか正確にわかる』ことであり、それだけの機能があればあとは自分で判断できるのである。 もちろん住所で検索する機能などカーナビを使う上で便利な機能を否定するつもりは全くない。

カーナビは見知らぬ場所でもちゃんと連れて行ってくれる機械、そんなイメージを持っている方も多いと思われる。 また、カーナビを使っている方から目的地の近くまで行ったのだがその時現在地が間違っていたため周囲を走り回ってしまったとの不満を聞いた。 多くの方々は現在地を間違えるのはおかしいと思っているようだが、実はこれを実現するのが最も難しい。 メーカー各社のカタログに現在地の精度について大きく触れていないのもこれを数値で表せない背景がある。

カーナビを正しく理解して使いこなしてもらいたい。それが多くの開発者の願いである。 このホームページではカーナビの歴史、どのようにして今いる場所を知るのか、CD-ROM、DVD、HDDの違いは? そして取り付けや使いこなし方のテクニックなどを裏話も交えて連載したいと思っている。こんなことが知りたい。 そんな意見があればお寄せ願いたい。優先的に掲載したいと思っている。

(達人)
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